| ― 現在のお仕事についてお聞かせください。 |
今お世話になっているフードビジネスの企業には、カフェスタイルの新規事業を展開していくにあたって声を掛けていただきました。
最初はフレンチの観点からメニューのアドバイスなどをしていましたが、今は商品開発を中心に、調理そのもののシステム作りから、サービススタッフの接客指導、販売戦略といったことまで、マーケティング全般を任せていただいています。グループ全体のアドバイザーという位置付けで、本社のスーパーバイザーや各部のスタッフたちと意見交換をしながら、よりお客様に喜ばれる外食産業としてアイデアを出し合う毎日です。 |
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| ― お仕事の魅力はどんなことですか? |
グループ全体のアドバイザーという役割ですから責任は重いです。でもその分、やる気も出ますし、勉強にもなります。もともと「食」が大好きで入った世界です。おいしいものを作るのも食べるのも好きです。また、探究心も旺盛な方なので、知らない「食」についていろいろと学べるのはワクワクしますね。
裏方ではありますが、会社の中ではなく、レストランの現場でお客様の反応を見ながらアイデアを考え、提案していける立場なので、生きた情報を活用でき、とても充実感があります。 |
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| ― 小野さんはずっとフードビジネスに携わっていらっしゃるんですか? |
| はい。ホテルを皮切りに15年ほどになります。その後、カナダのバンクーバーでフレンチ、ケーキの修行、国内に戻ってからもフレンチ、イタリアン、ケーキ、料亭、ナチュラルレストランと各種調理からサービスまで全般にやってきました。 |
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| ― フードビジネスの世界はなかなか厳しいとも聞きますが。 |
| そういう部分はありますね。もっと楽してお金を稼げる分野もあるでしょうね(笑)。でも、私がこれまでやってこられたのは、国内外ともに師匠に恵まれたこと、そしてやはり好きなことだからです。 |
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| ― ハーブとの出会いもお仕事を通じてですか? |
| そうです。10年ほど前、バンクーバーのフレンチレストランで修行をしていた頃です。フレンチでは必ずハーブを使いますから、料理・調味の材料として出会いました。そのレストランはフランス人のシェフでしたが、この方が大胆なハーブの使い方をするので、いったいこれはなんだろうとますます興味がわきました。当時、日本では「ハーブ」という単語でさえ、一般的には行き渡っていなかった頃ですからね。 |
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| ― 具体的にはどんなことに驚かれましたか? |
| たとえば、今では日本でもレストランはもちろん、家庭でもメニューとして定着しつつある「ローズマリーやタイムを使った羊肉のロースト」でも、その当時はびっくりしましたね。なんだかわからないけど、完成品になった時、肉や魚などの素材に深みを増す材料。そんなハーブに驚きの連続でした。 |
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| ― それでハーブを学ぼうと? |
| ええ、そうですね。フレンチでは、ハーブティーのことを「アンフュージョン」と言うのですが、有名シェフたちは、それぞれ工夫を凝らしたアンフュージョンを用意していました。その工夫はハーブの種類であったり、サービスの仕方であったり……。でも、名前ばかりでなく、有能でもある彼らがそんな風に努力しているのだから、自分はさらに上をいく必要があるのだと思いました。自分にしかない知識、自分はこれなら負けないと、胸を張れるようなウリが欲しかったですね。 |
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| ― ハーブについて、かなり勉強されたんですか? |
| いえ、修行時代はそれ以外に覚えることが山ほどありますし、その後シェフになってからも、この職業は時間に制約があり、ゆっくり丁寧に学ぶ時間はありませんでした。ハーブについてきちんと基礎から学び、科学的根拠も知りたいと熱望しながらもなかなか……というのが本当のところです。 |
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| ― ではPAHを取得されたのはいつ頃ですか? |
実はPAHを取得したのはごく最近なんです。こういう資格があることさえ知りませんでした。
PHAは、基本的なことを広範囲に学んだ上での資格ですし、きちんと勉強すれば取るのにもそんなに時間はかからない。これは自分にとって理想的だなと思いました。そうしたら偶然にも、今の仕事に移るところで少しだけ時間ができたこともあり、一気に勉強してしまおうと頑張りました。 |
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| ― 勉強は大変でしたか? |
期間は集中して1カ月ぐらいでした。記憶力に不安もありましたが、これまで気になっていたハーブについても系統立てて学べて良かったです。試験も無事クリアでき、資格も取れ、積年の思いを遂げられて嬉しかったですね。
仕事の区切り区切りで、仕事に必要な資格をひとつずつ取ってステップアップを図りたいと常に思っていました。たとえハードでも、知らないことを学ぶのがもともと好きなんですよね。 |
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| ― PAHを取得して、具体的に何が良かった点でしょうか? |
きちんと勉強して、改めて自分自身が理解・納得できたことがたくさんありました。たとえばハーブと出会った頃には、ローズマリーやタイムと日本で昔から食べていたシソとはよく似てるなあと何となくと考えていました。それで調べてみると、ローズマリーもタイムもシソ科のハーブであることを知った、というようなことがあったんです。
勉強をしている最中も、そんな昔と同じような発見がいくつもありました。新鮮で本当に面白い。資格がないと、ハーブを使っての調理ができないわけでも、サービスができないわけでもありませんが、知識の裏づけがあるとポイントもつかみやすくなって、興味のあることがもっと面白くなりますね。 |
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| ― 仕事にますます生かせますね。 |
店舗全体のコンセプトを考える時には、お客様に“おいしい味”だけではなく、“おいしい時間”“おいしい空間”を提供することも念頭におかなくてはいけません。そんな中でトイレひとつをとっても、こういう石鹸が喜ばれそうだとか、季節ごとにポプリを替えてはどうだろうかとか、ハーブの知識があるからこそ生み出せるアイデアがいくつもあります。
ただ、提案をする時に雰囲気が良くなるからとか、おいしそうだからとかいう理由だけではプロとはいえません。科学的な根拠も添えた上での提案でないと経営側も判断はできませんからね。 |
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| ― 今、具体化されそうなハーブに関してのアイデアはありますか? |
| 私はプライベートでは中国茶もよく飲んでいます。そこで“東洋風ハーブティー”のようなお茶が提供できたらいいなとも思っています。あれも組み合わせてみたい、あんな風なハーブの使い方ができたら面白いなとアイデアは無限です。 |